製紙大手5社、再生紙の古紙配合比率の偽装を認める

パンドラの箱」が開いちゃったなぁという印象。
いろいろな課題や問題点がいっぺんに出てきたということで。

再生紙=エコという前提が崩れてしまったことと、それによる古紙回収への影響
・古紙を(適度な品質の)再生紙にリサイクルすることの技術的な難しさ
・一方で古紙の需要(主に中国向け)が高く、入手が難しいこと
・「エコ」の定義を見直す必要(CO2排出量か燃料消費か森林保護か)

R100の紙が手に入らない

昨年末ぐらいから「再生紙100%(R100)のPPC用紙が手に入らなくなる」という話を耳にすることあった。
前述のように古紙が手に入りにくくなったのと、以前日本製紙が「環境負荷や燃料費などのコストが増える」としてR100再生紙の生産を止めたこともあって、R100PPC用紙の供給がなくなるかも、というものだった。

参考:日本製紙株式会社
2007年4月24日
再生紙ラインナップを再編、古紙100%配合製品を廃止
〜独自の環境コンセプトに基づく「グリーン・プロポーション再生紙」を発売〜

グリーン購入法の都合もあるので「それでは困るなぁ」という話になったが、今日明日に止められるというレベルの話ではなかったので、その時は雑談に過ぎなかったわけだが、これによってこの話が急に現実味を帯びたという印象。

エコは難しい

紙を含め、エコに関する「常識」は変わることが多い。

プラスチックだって、以前は「燃やすとダイオキシンが出る」ということで、きちんと分別して「燃えないゴミ」として出すことを推奨されてきたが、最近は「高温で燃やせばダイオキシンは出ないし、焼却時の廃熱を使って発電・給湯できる(サーマルリサイクルという)し、廃棄物の量が減るので埋立地を有効利用できる」というように変わってきた(実際、今年の4月から東京23区では「燃えるゴミ」に変更される予定)し、紙についても「燃やしてサーマルリサイクルした方が環境負荷が少ない」と言われるようになった。

それに、ただ単に「エコ」といっても、「CO2削減」「化石燃料節約」「森林保護」「資源節約」「廃棄物の環境負荷低減」など視点はいろいろある。
例えば「バイオ燃料」は「化石燃料節約」にはなるが、それによってサトウキビの増産が行われることで熱帯雨林が破壊され「森林保護」にとってはむしろマイナスだったり、小麦畑が減少して食糧問題が発生したりと、必ずしも完全な形での「エコ」なのかどうかは未知数である。
また「食料自給率向上」や「レアメタル確保」のように、エコだけでなく国の経済や安全保障に大きな影響を与える分野のものもある。

自分が学生時代に教わった事が次々変わっていくので「発展途上な学問だなぁ」とは思うが、一方で研究しがいはあるんだろうなぁとも。