人口増加が過去最低に

<人口動態統計>自然増加数、過去最低に 03年

 厚生労働省は10日、03年の「人口動態統計」(概数)を発表した。1人の女性が一生に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率が過去最低の1.29に低下したほか、出生数も対前年比3万人減の112万4000人に落ち込んだ。一方で死亡数は100万人を突破し、人口の自然増加数は対前年比37%減の約10万8000人と過去最低にとどまった。

 同出生率を年齢階級別に見ると、25〓29歳代は85年が0.89だったのに対し、03年は0.45と半減し、晩婚化の広がりや出産を先送りしている傾向がうかがえる。一方、35〓39歳は85年の0.08に対し、03年は0.17。第1子の平均出産年齢も85年は26.7歳だったのが、03年は28.6歳に延びている。

 都道府県別で同出生率が高いのは(1)沖縄県(1.72)(2)福島県(1.54)(3)鳥取県(1.53)など。逆に最も低かったのは東京都の0.999で、初めて1人を割り込んだ。以下、京都府(1.15)奈良県(1.18)の順。

 このほか、死亡者数は101万5000人で、対前年比3万3000人増加。100万人を超えたのは47年以来2度目。自殺者は3万2000人で、1899年以降最多だった。また、婚姻件数は74万組で、対前年比1万7000組減。一方、離婚件数は28万4000組。人口1000人に対する離婚率は2.25で、13年ぶりに減少した。【吉田啓志】

毎日新聞6月10日]
(以上、infoseek newsより)

この件に関連して額賀政調会長
『「情報を囲い込んではならない。年金不信につながる」と指摘、公表が遅かったとして厚生労働省の対応を批判した。(ソース:infoseek news)』
そうだが、その統計をまとめる側(正確には「統計をまとめるためのコンピュータのハードやソフトをつくって提供する側」)から言わせてもらえば、全国の各自治体からデータを送ってもらって、それを統計処理用のコンピュータに登録して計算する。出た結果を慎重に検査して誤りがないかを調べ、あればどこが原因なのか(元データか算定プログラムか)を調べて再度計算と結果の検証。それが終われば、今度は出た結果が何を意味するのか分析をしなければならない。
何しろ国家の施策を決める為の重要なもの。数値(出生率)や分析に誤りがあっては一大事なので慎重の上にも慎重にする必要がある。
そうして出た結果を白書としてまとめて製本、今だとPDFファイル化してウェブサーバにアップロードしてやっと公の眼に触れることになるわけで、相当な手間や時間がかかる作業である。議員が「出せ」と言ったらすぐ出せるような代物ではない。
しかも、この統計の通常の公表時期から遅れて出したわけでもないと思われる。富山県の統計情報ライブラリーのサイトには、「結果公表時期   年報(概数)翌年6月頃」と記載されている。だから隠したなどという指摘は当たらない。
それなのに、一部マスコミは「意図的に隠した」などと言っているが、これはただのいいがかりに過ぎない。予想より低い結果が出たことについても、各種データをもとに、さまざまな分析手法で出した結果であって、外れるのは致し方ない面もある。厚生労働省の役人も神ではないのだから。

この出生率の低下は何が原因で、どうすれば改善するのだろうか?以前「保育所の増設など、結婚後の女性が積極的に働けるような環境を整備すると出生率が改善する、これは北欧などの実例がある」という論文を読んだことがあるが、正直「ホントか?」という気持ちを禁じえない。現在の出生率低下の主要原因である晩婚化・非婚化は各分野、特に労働分野での男女平等が普及した副産物として発生した状況で、それをさらに推進すると逆に出生率が改善するというのはにわかには信じがたい。