携帯を持つと勉強しなくなる?

携帯電話持つ女子中学生、「家で勉強しない」が非所持群の1.6倍
性犯罪や子ども同士の暴力による死傷が相次ぎ報道されるなか、「何かあった時のために」と、中高生に携帯電話を持たせる親は少なくない。しかし、その親心が裏目に出るかもしれないと思わせる調査結果を警察庁が6月末に発表した。

警察庁が発表したのは、「青少年の意識・行動と携帯電話に関する調査研究」。調査対象は、6府県(宮城県、千葉県、石川県、大阪府岡山県大分県)の一般中学生1880人(男子960人、女子920人)、一般高校生1509人(男子718人、女子791人)と、2002年10〓12月に全国で検挙・補導された中学生(男子374人、女子180人)と高校生(男子305人、女子134人)の計4382人。一般少年は2002年9〓12月、非行少年は検挙・補導時期の2002年10〓12月に無記名調査票で調査した。

非行少年と一般少年で携帯電話の所持率や使用頻度について見ると、非行少年の所持率が高く、使用頻度も高い傾向が見られた。中学生男子では一般少年の携帯電話所持率が20.4%だったのに対し、非行少年では52.4%と約2.5倍多かった。高校生では一般少年と非行少年に所持率の違いは見られなかった。

また、非行少年では電話回数(非行少年7.7回対一般少年2.7回)、メール回数(42.6回対30.5回)が多く、そのことで親に怒られたり、料金分を賄うためのアルバイトをする回数が顕著に多かった。性犯罪の温床になっている出会い系サイトの利用は、非行少年(30.4%)だけでなく、一般少年(18.5%)でも驚くほど多い。

「家でどのくらい勉強をするか」という問いに対して、中学生では男女、非行/一般の別なく、携帯電話所持者は非所持者よりも「しない」傾向が高かった。特に一般女子中学生では44.6%対28.2%と、所持群の「勉強しない」比率が非所持群より6割も高く、携帯電話所持と勉強しない傾向の関連性を示唆する結果になった。
(以上、nikkeibpより)

アンケートは回答者の意思だけでなく、アンケートをとる者の意思もまた反映されます。たとえ公平にやろうとしても、どうしても入ってしまうものです。新聞社の首相の支持率もそう。朝日新聞の支持率は必ずと言っていいほど低めに出ますし。
それで、アンケートの母体となる回答者の抽出方法(二段層化抽出法とか)をアンケートの横に表示したりしているのですが、それは回答者の偏りの無さを示すことはあってもアンケート結果の正しさとは無関係といってもいいぐらい。
なぜなら、アンケートの方法(電話、郵送・メール、対面など)や質問の問題の表現、質問の出し方によっても異なるからです。例えば、

Q1.イラクでは外交官や日本の民間人が殺されました。彼らをどう思いますか?
 A 殺されて悲しい B 自分から危険な場所に行ってるから仕方ない C その他
Q2.自衛隊イラクに派遣されているのはどう思いますか?
A 行くべき B 行くのは仕方ない C 行かないべき D その他

というアンケートを出されたときと、

Q1.イラクサマーワでの、自衛隊の支援活動をどう思いますか?
 A よくやっている B もっとやることがある C その他
Q2.自衛隊イラクに派遣されているのはどう思いますか?
A 行くべき B 行くのは仕方ない C 行かないべき D その他

のアンケートを出されたときで、Q2の質問の回答は変わると言われています。前者のアンケートを答える人たちは、外交官や民間人の犠牲の印象を持ったままQ2の文を読むため、自衛隊員の犠牲について考えが出ることが多くなります。そして、そのことを考えれば自衛隊は行くべきではないと答える人は必然的に多くなるのです。
逆に後者のアンケートの場合、自衛隊の活躍をQ1で印象付けられる為、もっと活躍して欲しいという気持ちから行くべきと答える人が多くなる傾向があるのです。
(続く)

(註:アンケート例として外交官や民間人の例を挙げましたが、これには他意はなく、あくまで例えとして使用しています。
   犠牲となられた方の冥福をお祈りいたします)

と、大学の講義で聞いたアンケートについての知識の受け売りを披露したところで(ぉ、最初の記事に対するコメント。
明らかに携帯悪者説にしたい警察の意向が見て取れるような、アンケートの分析だなぁと思います。
かつてはバイクやギターなどが「不良のアイテム」とされ、目の敵にされた・・・そうですが(だって生まれてないから伝聞なので)、今はそれを携帯に求めているようです。
数字だけを見て背景についての検討をせずに決め付けるのって、せいぜいが大学生のレポートが限度だろうと。警察庁の名前を冠して発表する調査の分析としては極めて低レベルだろうと。
他にも多数の質問をしてるんでしょうから、それらをもとにもっと綿密な分析をする必要があると思います。そうしないと、青少年の犯罪抑止の効果が上がらないなど、実務にも影響すると思いますし。

こんな調査結果を公表されても、携帯電話会社が抗議するといった話を聞かないのですが、それは「携帯電話は青少年の犯罪を助長する」「携帯電話を青少年が持つと勉強しなくなる」等のネガティブなイメージをすべて受け入れることになると思うのです。
これに真っ向から反論しなくとも、「青少年の健全な成長に一役買う」など、逆の結果のアンケートを公表したりとかする必要はあると思います。まぁ私がそれを見たら今回と同じことを携帯会社に言いそうですが(藁

ひょっとして、これを根拠に「携帯の通話の秘匿性(電話機〓基地局の通信が暗号化されていたり、基地局内でも特定の通話を抽出するのに手間がかかるなど)は必ず犯罪に利用されるから、すべて警察が監視しなければならない」という世論の形成の為とか・・・。怖い怖い。

ちなみに、日本における青少年の犯罪ですが、件数ベースでは年々減少しているそうです。問題は重大犯罪が多発していることや、それまで「普通の生徒」だった少年が犯罪を犯すようになっていること。
さらに言えば、世界的に見て、若年層の犯罪率はかなり低いのだそう。20代の犯罪割合が50代の犯罪割合より低いのは日本だけだとか。


AERA2ちゃんねる特集。普段2ちゃんで「アカ日」などと呼ばれ非難されている朝日新聞からの反論に期待。