美浜原発で2次冷却水漏れ事故、作業員4人死亡

まず、この事故で犠牲になった方には心からお悔やみ申し上げるとともに、今回の事故で被害に遭われた方全員に対し、危険な現場で危険と隣りあわせで仕事をされてきたことに最大限の敬意を表したいと思います。

そのうえで、分野やレベルこそ違え、同じ技術者として今回の事故を見たときに感じた違和感を、素直に書こうと思います。
まず前提として、関西電力や公的機関から公表された情報はすべて正しいものとします。まぁ性善説です。疑いだしたらきりがないですから。
今回の事故は「2次冷却水漏れ」。2次冷却水には放射能は含まれていないはずなので、今回の事故での放射能漏れは起こっていない。まぁ間違ってないと思います。ただそれはあくまで「理論上」の結論なので、周辺の空気や海水(2次冷却水のもと)を調べてみて確認する必要はありそう。
そして、今回の事故が発生した直後に自動的に原子炉は停止した。既に稼動開始から28年経っていて、システムとしては「枯れている」(=バグなどが直されて安定している)と推測される。ただし配管などの経年劣化や、テロなど想定していない可能性のある障害要因に対しても万全に機能するかどうかについては疑問。

となると、今回の事故というのは、他の工場の配管破断事故と同じではないのだろうか?そこにたまたま原子炉があったかないかの違いで。
だからまず点検すべきは2次冷却水まわり、続いて1次冷却水や、その他の各配管となるだろう。原子炉を止めるというのはなかなかできない(原子力発電は、需要と関係なく常に一定量ずつ発電されている場合が多い。余った電気は揚水発電所、つまり巨大なポンプで水を上流のダム湖にくみ上げ、昼に水を落として水力発電するという方法で利用されている)ことなので、この際にできる限りやっておこうと。
つまり、今回の事故での点検の重要性は、おおざっぱに言って
 2次冷却水の配管>1次冷却水の配管>発電用施設(タービン)=原子炉
なんじゃなかろうかと。

車で例えるなら、今回の事故はタイヤがパンクしたようなものといえます。当然、パンクしたタイヤは交換するでしょうし、他のタイヤの点検もすると思います。
ひょっとしたらこのパンクでシャフトなどの駆動系の部分が故障したかもしれない。大事な人を乗せる車ですから点検したほうがいいでしょうね。
でも、この事故でエンジンとか、バッテリーとかを点検する必要があるといえるでしょうか?そりゃ点検しないよりはしたほうがいいのでしょうが、そこまでやらなくても・・・という気がするのは私だけでしょうか?

もちろん、原発が周辺に与える影響の巨大さを考えたらする必要はあるのでしょうが、電力会社にも予算や人員などに上限があります。そのリソースの範囲内で原発の点検を行なうより他にないと思います。
電気使用料を倍にすれば、点検内容も2倍やそれ以上になるかもしれませんけど。

とまぁ、こんな悠長なことを書いていられるのは原子炉の安全装置が正常だから。原子炉は何重もの安全装置がついていて安全だそうですが、もしメルトダウンでもしていれば、私の住む関東にも死の灰が降るでしょうからね。

蛇足ですが、私はSimcityでは「原子力発電所」は使いません。だってメルトダウンの確率設定が高すぎるんだもん(呆