芸能界に「ハロプロOG」を送り出す、という考え方が必要だ

突然の後藤真希ハロプロ退団発表はあまりに衝撃的だったが、一方で「来るべきときが来た」ともいえる。

常に新しさが求められるアイドル業界、そしてハロプロにとって、メンバの退団や移籍が不可避なものであり、それを「戦力ダウン」や「内紛と思われる」などの負のイメージではなく「ハロプロのOGに活躍の場を与え、結果的にハロプロのブランドイメージを上げる」という、積極的で心の広い考え方を持ってメンバを送り出すことが必要になっていくと考える。

宝塚歌劇団のOGが各界で活躍していることはその好例である。

「花形」と「金のなる木」、そして「負け犬」?

後藤をはじめモーニング娘。を卒業したメンバなどは「エルダークラブ」という枠組みに入り、娘。やBerryz工房℃-uteなどの「ワンダフルハーツ」と一緒に活動することは少なくなっている。
ハロプロコンサートさえ、その2つに分かれた形で行なわれている。

この2つは、経営学用語でいうと「花形*1」と「金のなる木*2」といえる。
「花形」はワンダフルハーツ、「金のなる木」はエルダークラブが該当するだろう。
これの傍証として、最近新宿や渋谷の駅などで娘。や℃-ute月島きらりの広告を大規模に展開している一方で、エルダークラブのメンバの広告をあまり見かけないということが挙げられる。

ただ、エルダークラブの全員が「金のなる木」かというとそうとも言いがたく、「負け犬*3」に転落しつつあるメンバもいるのだが、前述のように「花形」に優先的に投資しているために、そのメンバへのテコ入れが後回しにされているのが現状である。

円満退団があまりに少ない

これまでにも、多くのメンバらが「卒業」という形でハロプロを去っている。
2002年7月末から12月の「ハロマゲドン」では、平家みちよら3人が退団したし、今年1月のあさみ・みうなカントリー娘。)の卒業は記憶に新しいところだ。

ただ、あさみとみうなのように卒業後の進路が公表されたり、退団後のみうなガッタスの試合を観戦したり、いったん引退した紺野あさ美が復帰したりするなど、メンバとハロプロに良好な関係が残っている例は稀有であり、ほとんどが実質的な「戦力外通告」か「不祥事による退団」などであった。
つまり「円満退団」がほとんどないのだ。

とあるTV番組で福田明日香のその後を特集した番組を見たが、カラオケで他の曲は歌ってもハロプロ曲だけは絶対に歌わないそうだ。
このことからも、それまでの退団が不幸なものであったことを推測することができる。

円満退団は双方にメリット

移籍や独立などを含む退団を認めることは、赤羽橋にとってはなかなか難しいことかもしれない。
オーディションによって選び出し、多額のコストを掛けて手塩にかけて育てたアーティストを手放すということは、金額以上に関係者にとって抵抗があるのだろう。

ただ、退団がそのメンバに心機一転の機会を与え、新たな魅力を引き出すかもしれない。
一方で、OGが各分野で活躍すれば、必然的に「古巣」であるハロプロの評価も高まるだろう。
ハロプロとしても、常に新しいメンバを入れる余裕が生まれ、目が行き届くようになるのではないか。

後藤の活躍がカギ

今回後藤は、実弟の不名誉まですべて負った形で退団することになったが、これによりハロプロにとっても後藤にとっても、重しが取れて自由になったともいえる。
今回の退団が成功だったかどうかは、今後の後藤の活躍次第であり、その結果によって他のメンバが後に続くかどうかが決まるだろう。

*1:市場成長率と市場シェアが高い、言い換えると「投資の必要はあるが将来性が見込める」分野・事業

*2:市場成長率は低いが市場シェアは高い、つまり「投資しなくても収益は見込める、ただし成長率は低い」分野・事業

*3:市長成長率・市場シェアのどちらも低い、言い換えると「投資しても収益が見込めない」分野・事業