CDに「輸入権」設定へ、今国会で法律改正案成立へ

いま、著作権法の改正案が提出されているのをご存じだろうか。そしてその中の大きなポイントに、日本版がある外国版CDの輸入を禁止しよう、というとんでもない条項が入っていることを。

 そもそもの話は日本アーティストのCDが外国で安く売られていて(海賊版の話じゃないよ。正規版だよ)、逆輸入されると日本盤の売り上げが落ちるからそれを禁止しよう、という話だった。名付けて「輸入権」。マイナーそうな話だからどうでもいいや、と思っていた。

 ところが、国会答弁の中で明らかになってきたのが、これがなんと洋楽にも適用される、ということ。要するに、日本盤が出ている洋楽CDの輸入盤が違法になる。表示が必要とか、条件付きの抜け道もありそうだけど、基本線はそういうことだ。
(以上、「ヘンじゃないか輸入権」より抜粋)

音楽業界って二枚舌ですね。音楽や映像などの制作物を「文化的な作品」と位置づけていながら、その自由な流通は「商売が立ち行かなくなるから規制しろ」と言うわけです。

今国会(第159通常国会たまにニュースでも「第159通常国会」と言っていることがありますが、「回」はつけないのが正式)でこの「輸入権」を認めるようにするための著作権法改正案が審議されていますが、参議院では4月21日に可決してしまいました。
《済》4月21日(水)午前の本会議で可決(賛成191:反対0)。衆議院へ転送
参議院議員の中に、音楽愛好者のために最後までがんばろう、と考える人が一人もいないのか、と思いました。あ、ちなみに47人が欠席または棄権だそうですが。

山形浩生氏も強調されていますが、あくまで合法的に生産され販売されたCDを輸入することも違法になるんです。法案では、個人的に利用するための輸入は除外されるそうですが、それでも海外音楽を好きな人が、大量に買い込んで税関を通ろうとしたときに「日本版があるCDを大量に持ち込もうとした」として法律違反にされてしまう可能性もあります。よく、外国で「このカバンを到着地の空港まで運んでくれ」といわれて、知らずに運んだら中身が麻薬で、出入国時に見つかって逮捕・勾留された、という事件がありますが、それがCDでも起こるわけです。

こんな権利を認めさせようとしたのが音楽業界です。洋楽だけでなく、海外でライセンス生産している邦楽のCDが、安価に輸入されることで、国内版の売れ行きが悪くなるということで、このような権利を主張し始めたとのことです。
音楽業界は、一部レコード会社が楽曲のコピーに課金するレーベルゲートCDや、CCCDというCDに似せた円盤を発売しています。レーベルゲートCDはまだしも、CCCDはCDの規格を定めたRed Bookに違反しているので、CDとは呼べない粗悪品です。一部レコード会社が、顧客である音楽愛好者に理解を得る前に強引にCCCDを導入して、各方面から批判を受けたことは記憶に新しいと思います。
しかし、これらについても、最近はコピーガードがあっさり破られるなどして効果をあげていないようです。この問題については、DVD Audio規格が普及すればある程度は解決すると思いますが、それでも結局コピーガードをかけたり解除したりする「いたちごっこ」が続くと予想されます。

それに飽き足らず、今度は「輸入権」。音楽を文化ととらえ、その文化の発展を考えるなら、CDの輸出入は増えたほうがいいに決まっています。それが海賊版だと困るのは当然ですが、それは現在でも法律で禁止されています。むしろ、海賊版をなくすために、現地でライセンス生産をするなどしたはずです。
(続く)