イラクの日本人人質、殺害される

正直コメントするにも値しないように思う。

イラクで犠牲になった他の4名の方は、外交官として、また報道関係者としてその職責を果たすために現地に行き、その尊い命をささげることになった。また、無事解放された5名は、ボランティアであったり報道関係者として、それなりに目的を持っていた。
無論、彼らはできる限りにおいて現地の情報を収集して、できる限りのリスク回避を試みて、それでもテロ組織に身柄を拘束されてしまったのである。
それに対して香田はどうだったか。イスラエルを経由してヨルダンやイラクに入国したそうだが、これは最悪の行為らしい。イラン・イラク戦争より以前に現地に行ったことがある知人に聞くと、パスポートにイスラエルの入国履歴がある人物は、アラブ世界では敵とみなされるらしい。そのため、イスラエルに行った後にアラブの国に行く人は、パスポートを再発行してもらったとか。今はイスラエル側が配慮して、パスポートから取り外せる形で査証を発行するとの事らしいが。
そのくらいのことは、ガイドブックさえ買えば絶対載っているはず。そんなことも知らずに旅行する時点で「危機感が足りない」と言われても仕方がないことだ。ましてイラクがどれだけ治安が悪化しているかなんて、世界中に映像を含め情報が流通しているに違いない。彼が居たというニュージーランドだって、英連邦の一員である以上テロの標的になる可能性が0ではないだけに、イラク情報を扱わないはずはない。

それと、毎回恒例行事になりつつある「自衛隊イラクに居るから狙われた」論だが、そもそもそんなことが論じられるのがおかしい。
いじめられている子に対して「いじめられるような行動をするから悪い」と言うだろうか?例えいじめられっ子がいじめっ子を挑発したとしても、手を出すほうがまず悪い。その上でいじめられっ子がしていた行為についての是非が問われるべきである。
ましてテロ組織の連中が人を殺しているのである。その罪を償わせるべきはその連中であって、日本政府や自衛隊とは何の関係もない。

「日本はテロに屈しない」という発言が問題視されるが、これは至極当然のことだと思う。この姿勢を見せないと今度は国民1億人を危険にさらすことになる。あるいはテロ組織にいいようにカモられる。カモられるということは、テロ組織を支援することとみなされ、国際社会から孤立するリスクすらある。
そんなことも分からずに「戦争反対」と言う人の気が知れない。

小泉首相にとってこの事件が追及されなかったのは新潟中越地震があったからだろうか。今回の地震で建物等の崩壊で犠牲になるだけでなく、避難生活の疲労で命を失う人が多かった。そういった理不尽な死を大勢目の当たりにした国民にとっては、自分から危険な場所に行って命を失った人間まで構う気持ちはなかったのかも。