松浦亜弥さん、「無理」や「背伸び」せず「等身大」で

顎関節症により、9日のグリーンホール相模大野での2公演が中止となった。私たちファンにとっては残念だったが、一番悔しい思いをしているのは言うまでもなく本人だろう。

責任感やプロ意識が強く「私は40度の熱があってもステージには立つ」とラジオ(2004年1月18日放送「松浦亜弥 Let's Do It!」)で公言するほどの彼女のこと。残る6公演やTV・ラジオのレギュラー番組、CM撮影などの仕事に穴を開けまいと思っているかもしれない。

しかし、あえて私は「十分に休養してから戻ってきて欲しい」と言いたい。
もちろん、早く回復して欲しいし、早くその姿を見たいという気持ちもあるが、少し治ったからといって無理しないで欲しいのである。

先日も書いたが、顎関節症は「顎の病気」であるとともに、「ストレス病」であるという一面も持つ。
なかなか完治しない病気というが、肉体的・精神的なストレスを解消することで、かなり症状が改善することが期待されるからだ。
彼女の将来も考慮して、事務所や関係者には今後についての判断を願いたい。

ずっと背伸びしてきた

彼女はデビューからずっと「背伸び」してきた。

デビューのきっかけとなった「第4回モーニング娘。&平家みちよ妹分オーディション」で、応募条件より若かったにも関わらず合格となった。
それが彼女の気持ちに何らかの影響を及ぼしたのかは分からないが、デビューから「アイドル」として期待以上の結果を残してきた。その完全性から「アイドルサイボーグ」とも呼ばれたこともあった。
当時のことを彼女は「(アイドル"あやや"を)演じてた」と振り返るが、それは彼女が日々大きくなっていく「アイドル"あやや"」への期待に精一杯応じようとしてきたということだろう。
一時「25歳説」が流布されたこともあったが、そう思わせるだけの受け答えの上手さやキャラクターがあった。

今年に入ってからは「脱アイドル」を意識し、本格的な歌手を目指してコンサートに生演奏を導入するなど、目指す方向は変わったものの、その向上心はとどまることがなかった。

常に上を目指して「背伸び」してきたからこそ今の彼女があるのかもしれない。しかし、それが彼女の肉体や精神にとってあまりに負担が重すぎたことも否めない事実である。
だからこそ、今ここで「等身大」に戻って欲しいのである。自分を冷静に見つめなおし、何ができるか、また何を望まれているかを、治療の合間に思いをめぐらせてもらいたい。

「進化ノ季節」に真価を問われる

今回のツアーのタイトルは「進化ノ季節」。彼女はデビューからずっと「成長」はしてきているが、ここで「進化」を望んだのだろう。
だが、成長と進化は全く次元が違っていたのかもしれない。成長の延長線上に進化があると思って、ずっと手を伸ばしていたら筋肉がつってしまった、そのような感じか。

アイドル"あやや"が歌手"松浦亜弥"に「進化」できるか、彼女の真価が問われている。
ただ「背伸びする」だけでは届かない「高いところにある木の実」に、彼女の手は届くのだろうか。いや、必ず届くと信じている。